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#8 NYデリ・デビュー!

Tシャツにジーンズにパーカーにスニーカー。腰にはしっかりポーチをくくりつけて、パスポートはポーチの内側のポケットにハンカチにくるんで入れた。

This is Natsuki’s New York Style.

と、鏡の中の自分に向かってつぶやいてみる。

ちょっとおバカな今日のあたし。
だってあたしは今日、けっこううかれてるんだ。
初めてのニューヨークひとり歩き。
目的は、ただひとつ。

「っしゃあ~っ、パン食い競争だあっっっ!!」

表通りに出たとたん、思わず日本語で、しかもわりと大きめな声でシャウトしてしまった。
道行く人が振り返ってあたしを見てる。だけどちっとも気にならない。

そう、あたしは客観的にどっからどう見てもハズかしい日本人観光客だった。

なのに今日のあたしはあたしのなかで、カンペキに「ザ・ニューヨーカー是枝夏輝」なのだった。

まえ、なんかの雑誌で見たことがある。
ニューヨーカーの歩く速度は世界第2位だとか(ちなみに1位は大阪人。笑)。
足が長いってこともあるんだろうけど、確かにあんまりぶらぶらしてる人がいないっていうか。
みんな目的地に向かって、ツカツカツカツカ、まっしぐらに歩いていってる気がする。

曲がりなりにもニューヨーカーと肩を並べて歩いていると、こっちもついつい早足になる。

もちろんコンパスの長さではかなうわけないんだけど、なんていうか、「世界的な競歩に参加してる」みたいな気分になってくる。

この闘いに打ち勝ったら、いつの日か「ニューヨーク・シティ・マラソン」に参加できるかも、なんて、バカX 2 なことを考えたりもする。

そんなことより、今日のあたしの最初の目的地は、ミッドタウンにあるホテルから2ブロックダウン、2ブロックイーストへ行ったところの角にあるデリだった(心のなかでは、まず右へ行って、1コめを右曲がって、2コめを左に曲がって、2コめの角、と覚えていた)。

NYに来てからホテルでブッフェの朝食を食べていたんだけど、きのうの朝、「デリのブレックファースト、してみる?」と怜奈が連れていってくれた。

知ってる店があるのかと思ったら、「NYには、ほぼ1ブロックごとにデリがあるの。だからどっかそのへんにあるでしょ」と、わりかしいい加減な返事だった。

ところが、である。
「どっかそのへんのデリ」の朝ごはんが、めちゃくちゃおいしかったのだ。

デリと言えば、私の中では「ディーン&デルーカ」みたいなおしゃれ食材とコーヒーやスイーツを売ってる店のことだった。

が、ほんもののデリっていうのは、まったく別モンだった。

まず、おしゃれじゃない。どっちかっていうと、ダサい。

それから、スパゲッティとゆでたトウモロコシとフライドポテトの匂いを混ぜたような、なんともいえないジャンクな匂いがする。

でもって、ポテチだのチョコだのヨーグルトだの、いろんな加工食品=ジャンクフードがどわーっと並んでいて、奥のほうには洗剤や殺虫剤まで置いている。
その一部はホコリっぽくて、ディスプレイはここ何十年も変えたことありません、って感じの、むしろガンコ一徹な雰囲気さえある。

日本の田舎のよろず屋さんみたいな感じ、だろうか。

だけど、よろず屋さんにありがちな、「さて何がみつかるかな?」みたいなワクワク感がいっぱいにあふれている。

そして入り口近くにショーケースがあり、チーズやサラダがずらりと並ぶ。
その奥からはタマゴとソーセージの焼けるなんとも香ばしい匂いが漂ってくる。

ニューヨークヤンキースのキャップをかぶったプエルトリカンっぽい男の人が、あたしと目が合うと人懐っこく、だけどものすごい早口の英語で語りかけてくる。

「May I help you, Ms.?」

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